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くあるご質問

結露考察

上葺材施工前にルーフィングより雨漏りが発生しているという苦情が年にいくつか発生しています。
調べてみたところ、その殆どが屋根面の室内側に発生した『結露』が原因でした。
『結露』は自然現象ですが漏水と同じ様な被害をもたらします。
『結露』と言う状況を見た事がない方には漏水と結露の違いが判断できず漏水の一言が片付けられてしまう事が多い為、この場所を借りまして『結露』について知っていただこうと思います。皆様方の下葺材に対する誤解を少しでも解いて頂ければ幸いです。

Q1.結露とは、どの様なものですか?

A.結露は温度差に生じる水滴の事です。
分かり易く言えば、冬の室内ガラス面に生じる水滴が結露の代表的な例です。外の冷たい空気によってガラスの外側が冷やされ、室内側のガラスの表面は室内の暖房により暖められ、ガラスの表裏で大きな温度差が生じます。室内の空気の中に含まれていた水蒸気がガラス面に触れると、冷やされて露点に達し、水滴になります。
これと同じ事が屋根下葺材施工後に屋根室内面で起こる事があります。これが屋根における結露です。

Q2.建築時に発生する結露についてもう少し詳しく説明してください。

A.下葺材施工後に、屋根面の室内側に結露が発生するのは、基本的には多湿の空気が小屋裏に溜まった状況下で、外気温が急激に低下し小屋裏空気との温度差が生じ、野地板面が小屋裏空気の露点以下になって水蒸気が水滴に変化する為です。この様にして発生した表面結露が、あたかも下葺材から漏水している様に見え、一部の方より誤解を招いております。ARK(アスファルトルーフィング工業会)加盟会社の製品であれば品質規格をきちんと守っておりますので安心してお使いください。

結露と漏水は、下記のような違いで判別できます。

結露…小屋裏全体に水滴が付着、または落ちている
漏水…水滴が一箇所に集中している(釘穴からの漏水)

Q3.結露の発生要因とは?

A.表面結露発生の原因としては、種々の要因が考えられますが、現場状況で以下の様な要因の幾つかが複合した場合には、表面結露が発生する危険度が非常に高いと推察されます。

1.雨天時等の多湿な空気が小屋裏に流入した場合
2.下葺材施工後に外気温が急激に低下した場合
3.下葺材施工時に壁が立ち上がっていてある程度の気密性がある場合
4.方形・寄棟等の屋根形状で、小屋裏に高温多湿の空気が流入した場合
5.高勾配屋根で小屋裏空間が大きく、小屋裏に高温多湿の空気が溜まり易い場合
6.基礎等の処理が不十分で地面からの湿った空気が溜まり易い場合
7.焚き火、暖房等を行った場合
結露の発生原因

Q4.結露の発生は、季節に関係しますか? また、屋根施工後は、結露は収まるのですか?

A.一般的には結露は冬季の現象と考えられますが、下記でも発生した事例があります。
夏季に発生する結露は、空気中に含まれる水蒸気量が非常に多い為、ひどい時には水滴が滝のように滴り落ちる事があり、冬季に発生する結露よりも被害が大きくなる事があります。
季節の変わり目である6月や9月には湿度が高く、昼夜の気温差が激しい地方では特に注意が必要です。
屋根材の施工後、結露が収まったという事例があります。屋根材と屋根下地の間に生じる空気の層が断熱性能を有している為、野地板の温度低下が少なくなり、内部結露の発生が防止・抑制出来たと考えられます。
アスファルトルーフィング工業会で下葺材施工後に結露が発生する場合の条件について季節別にコンピューターによるシミュレーションを行いました。

■ 結露発生シュミレーション結果 (PR:アスファルトルーフィング940)

No.構成季節温湿度条件表面結露量
(kg/m2・day)
外気湿気
1野地板+PR春秋10℃,85%20℃,80%45.1290
2野地板+PR+空気層+屋根材春秋10℃,85%20℃,80%表面結露無し
3野地板+PR20℃,85%30℃,80%62.0341
4野地板+PR+空気層+屋根材20℃,85%30℃,80%表面結露無し
5野地板+PR0℃,85%10℃,80%29.8703
6野地板+PR+空気層+屋根材0℃,85%10℃,80%表面結露無し

*結露発生量は1日当りの計算値だが、一時間程度上記の条件になった場合、最低でも1kg/m2程度以上の結露が発生することになる。

  • 何れの季節に於いても室内外の温度差が10℃程度ある場合には、室内側に多量の表面結露が発生する危険性があることが分かる。
  • 屋根材を施行した場合は、屋根材を葺上げる際に発生する下地との間の空気層が結露防止機能を有する為(空気層は上記構成材の中では高い断熱性能を有している為に野地板の温度低下が少なくなり、室内空気が露点まで達することがなくなる)表面結露の発生の危険性は非常に少なくなる。